お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


2人、なんか仲良さそうだし。
碧は女の子のこと名前で呼んでるし。


……2人には仲良くしてほしくないのに、どんどん仲良くなっていってしまう。
2人の距離が近づけば、碧はその子のことを好きになってしまう可能性もあるわけで……というか、名前で読んでいる時点でもう怪しいわけで。


仲良く話す姿をずっと見ていることはできなくて、わたしは椅子から立ち上がった。
ガタッと音がたてば2人は振り向く。


「碧……この本借りたい……」


碧と目が合えば、そっと声を出した。


声を出したすぐあとに思ったのは、2人の会話を邪魔して迷惑じゃなかったかという少しの不安。

でもでも、2人にはやっぱり仲良くなってほしくないし……。


「今貸し出しの手続きしますね。あっちのカウンターまで持ってきてもらってもいいですか?」


不安になっていれば、碧は快く返事をしてくれた。


「うん」


こくんとうなずいて、碧と一緒にカウンターへ。

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