お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「おじょ……鷹樹さん、出席番号なん番でしたっけ?」
“お嬢”と言いかけて、言い直した彼。
……危ない危ない。
ここで言われたら絶対絶対怪しまれる。
「16番だよ」
「俺と一緒ですね」
そう返すと分厚いファイルを取り出して、あるページを開くとたくさんあるバーコードのなかのひとつをピッと読み取る。
それから「本貸してください」と言われて、わたしは持っていた本を手渡した。
「日本の歴史に興味なんてあったんですか?」
渡した本を見て、ふっと笑われる。
……本当は歴史にはそんなに興味はない。
わたしは小説よりもマンガのほうが大好きで、この本は図書室にある唯一のマンガ本だから、読みやすいかなと思って選んだだけ。
「興味あるもん。マンガだから読みやすいよ」
「そうですか」
嘘を着けば、また笑われて。
なんだかバカにされているみたいだった。
ピッと本の裏にあったバーコードも読みとってくれて、「貸出期間は2週間です」と本を渡してくれた。