お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
っていうか、わたしはちゃんと碧から触れる許可も得ているじゃないか。
だったら……少しくらい触ってもいいんじゃない!?
1歩ずつ彼へと近づいて、ベッドの脇にしゃがみこんだ。
顔はまだ見えないけど、心臓がドキドキと加速。
黒髪へと手を伸ばして触れてみれば、さらさらで柔らかい。
そして、いい匂い。
起こさないように、起こさないように……。
なんて思いながらゆっくり頭を撫でて。その手を滑らせて、頬へと触れる。
頬も柔らかくて、もちもち。
『餅みたいなほっぺですね』
なんて碧は言うけど、碧だって餅みたいなほっぺじゃん。
寝ているのをいいことに、頬をムニムニと触って、軽く引っ張って遊ぶ。
こんなことできる日はそうそうないから手がとまらない。
頬を存分に触ったあとは、今のうちに寝顔をちゃんと見ておきたくて立ち上がる。
上から見えるのは、横顔。
目をつむっている彼の横顔は可愛くて、かっこいい。