お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
スッキリしたフェイスライン。
横顔も完璧とかすごいなぁ。
……寝顔、もうちょっとだけ近くで見たい。
……正面からも見てみたい、かも。
そう思ってしまったわたしは自由帳とシャーペンを彼の枕元に置いて、彼の顔を覗き込む。
けれど、彼はわたしに背を向けて寝ているためやっぱりよく見えない。
こうなったら……。
寝顔をもっと近くで見ることをどうしても諦めきれなかったわたしは、そっとベッドに乗る。
ギシッとベッドが軋む音がして、起きてしまうのではないかとヒヤヒヤ。
でも、まだ大丈夫そう。
そっと、そーっと顔を近づけて。
やっと正面から見えた、碧の寝顔。
……可愛い。
こんなに近くで見れるなんてレアだ。
写真におさめておきたいなぁ。
シャッター音が聞こえたら碧はすぐに起きちゃうんだろうけど……。
よく目に焼き付けておこう。
近い距離でじっと見つめていれば……急に、開いた彼の瞳。
至近距離で目が合って、心臓が大きく飛び跳ねた。
「……お嬢、俺への好奇心が強いのはいいですが、男のベッドに平気で乗るのはあまり感心しませんよ」
耳に届く声。