お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


絵が下手なことは事実だけど、発想が幼稚なんて失礼な!


「碧、いつから起きてたの?」


自由帳を奪い返して、気になったことを聞いてみる。


「部屋に近づいてくる足音が聞こえてきたので、それで起きました」


さらっと答える彼。


それって……つまり、わたしがこの部屋に来る前から起きてたってことだよね?
足音を立てないようにこっそり来たつもりだったのに。


「そ、そんなんで起きるものなの!?」


だれかが部屋に来て起きるんじゃなくて、近づいてくる足音だけで起きるなんて……超人じゃんか!


「訓練したので」


微笑んで答える。

訓練って、いったいどんな訓練!?


「お嬢、お年寄りみたいに早起きですね」


枕元に置いてあった自分のスマホを見て、彼は現在の時刻を確認。


またなんて失礼なことを……!
まだわたしは15歳なのに……!


「久しぶりにデートでもします?」


文句を言ってやろうと思ったが、次に耳に届いた声。

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