お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


「誕生日プレゼントってことで、俺がプレゼントしたいんです」


わたしの誕生日は7月30日だから、まだ先。
碧もそれは知っているだろうに……どうしたんだ。


「わたしの誕生日まだ先だよ?」
「今年はもしかしたらですが……お嬢の誕生日を当日にお祝いできないかもしれないんです」


「……お仕事?」
「今年は7月29日に組の会合が入りまして……。1日あっちに泊まるので、帰りは30日になります。でも、その日は何時に帰って来れるかわからなくて……すみません」


「会合だったら仕方ないね……」


毎年、7月下旬から8月上旬に行われる会合。
会合とは、組の集まり。鷹樹組の組長であるわたしのお父さんが五分の盃を交わしている、一条組と如月組の3つの組が集まる。


その会合は、組員全員が参加するわけじゃない。
組長、組長補佐、若頭、若頭補佐、それから最高幹部は絶対参加で、あとは数名の組員が参加することになっている。


わたしは小さい頃、お母さんが生きていた時に一度だけ行ったことがあるんだけど……あまり記憶にない。
とにかく人が多くてすごかったのだけはなんとなくだけど覚えている。

< 169 / 431 >

この作品をシェア

pagetop