お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


碧は若頭で、絶対に参加しなくちゃいけないから、仕方ない。
毎年一緒に誕生日を過ごしてくれたから、少し寂しいけど……。


「だからどうか、一緒に過ごせないかもしれない代わりに、俺に1番最初にお嬢の誕生日をお祝いさせてください」


じっとわたしを見つめてくる碧に、断ることはできず。
わたしはこくんとうなずいて、着替えた。


試着室から出ると、彼はワンピースをレジへと持っていってお会計。


「早いですが、お誕生日おめでとうございます。これからも元気にすくすく育ってくださいね」


お店を出ると、すぐに渡してくれる紙袋。

元気にすくすくって……なんか、子どもに言うみたいだけど、嬉しい。
碧が1番にお祝いしてくれたから。


「ありがとう!」
「あ、今渡してら邪魔になっちゃいますよね。俺が持ってますよ」


受け取っばかりの紙袋を奪われそうになるが、わたしはそれを渡さない。


「ううん、自分で持ってる!」
「持てます?」


「これくらい持てるよ!次、本屋さん行こう!」


碧の手を引っ張って、次の目的地へ。

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