お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
歩いて5分もしないところにある本屋さんへと入って、真っ先に向かったのは少女マンガのコーナー。
「あった!」
大好きな少女マンガの新刊を見つけて、手に取る。
「お嬢、少女マンガ好きですね」
「碧も読む?キュンキュンして、こんな恋したいな~ってなるよ!」
マンガをすすめるのは、作戦のうち。
まず、碧は恋に興味があるかすらわからないから、少しでも碧に少女マンガに興味を持ってもらって、恋をしたいと強く思わせることが作戦。
彼に恋をしたいと強く思わせることは、ほかの子を好きになってしまうという危険性が高くなってしまうけど……わたしは碧と一緒に暮らしているぶん、ほかの子よりも少し有利。
少女マンガに興味を持ってくれたら、碧と語り合って、一緒にいる時間をさらに増やして、もっと距離を縮めたいところ。
一緒に少女マンガを読もう、碧!
じっと彼を見るが……。
「いえ、俺は大丈夫です。お嬢の顔を見ているだけで充分おもしろいので。それより、お嬢は恋したいんですか?」
即答だった。
しかも、予想外な質問まで。