お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


「も、もちろんしたいよ?」


本当は現在進行形で恋をしている、けど。
そこはなんとなくまだ秘密にして、わたしは本棚のマンガに目を向けて、見ているフリ。


「お嬢はバカなうえにちょろいんで、恋はまだ早いですよ」


……さっきから、すごくバカにされているような。
わたしの顔を見てるだけで充分おもしろい、とかバカとか、ちょろいとか。失礼すぎる。


「バカじゃないし、ちょろくないもん。わたしはもう15歳だよ。あと少しで結婚だってできる歳なんだからね」


さすがにそんなに早く結婚はしたいと思わないし、相手もいないけど。
バカにされたことがムカついて言い返せば、碧はわたしの腕をつかんだ。

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