お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


「……ちょろくないもん」
「ちょろいですよ」


「……どこがちょろいの」


気になって聞いてみると、急にわたしの手に大きな手が重なって。
長い指がわたしの指と指の間に絡まって、ぎゅっと強く握られた。


「!?」


な、な、な、なに!?
これは……恋人がする、手のつなぎ方じゃ!?


今まで手をつなぐことはあっても、こんなつなぎ方はだれともしたことがなかったから、人生ではじめて。


指の長さ、太さ……熱さ、全部伝わってきてさらに心臓が加速。
顔が熱くなっていく。


「やっぱりちょろいです」


そんなわたしの顔を見て、碧は笑う。


「これくらいで赤くなるなんてお嬢は超がつくほどのちょろちょろです。
こんなんじゃ、すぐ変な男に落とされて遊ばれますよ」


……な!?
わ、わたしは碧だから意識しちゃうだけなのに……っ!


「碧のバカっ!お会計してくる!」


手を振り払って、マンガを持って走ってレジへ。
手をつないでもわたしだけ意識していることが悔しくて、振り返って、碧に向けてべーっと舌を出した。

碧を意識させられる日が来るのだろうか……。

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