お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
やったぁ!
いちご大福、2個!
「やっぱりちょろいですね」
ふっ、と彼は笑う。
なんて言ったのか、その言葉はよく聞き取れなくてわからなかった。
あまり気にせずにパンケーキを一口サイズに切って、生クリームをたっぷりつけて口の中へ。
甘さが口の中へと広がって、とっても幸せ。
こんなに美味しいパンケーキが700円もしないで食べられるって本当にすごい。
毎日でも食べたいくらいだよ。
もぐもぐと口を動かしていれば、急にこっちに伸びてきた彼の手。
なにかと思えば、彼はわたしの口元を指で拭った。
指には、生クリーム。
どうやら、わたしの口元には生クリームがついていたようだ。
……恥ずかしい。
とってくれるのはありがたいけど、言ってくれたらいいのに。
「これで──」
紙ナプキンを1枚とって、『これで拭いて』と差し出そうとした時に──。
彼は生クリームがついた指をペロっと舐めた。
「お嬢は俺なしじゃ生きていけないダメ人間ですね」