お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
そんなことがあった日からは、碧はわたしに自分のことを少しだけど言うようになった。
全部、事後報告だけど。
「お嬢、ピアス開けました」
そう言って見せられた彼の耳には、シルバーのリングピアス。
ピアスでは驚かなかったけど、中学校では耳に穴を開けるのは校則違反だったから、すごく先生たちに怒られてたっけ。
そして、1番びっくりしたのは中学3年生の夏頃。
「俺、若頭に昇格しました」
学校帰りに突然、思い出したようにさらっと言われた。
15歳という若さで、異例の超スピード昇格。
鷹樹組にとって昇格は喜ばしいこと。家のみんなは喜んで宴会を開いていたけど、わたしは同じように喜べなかった。
ヤクザの娘でも、ヤクザはあまり好きじゃない。
揉め事があって怪我をして帰ってくる人もいるし、時には危険な目にあうから。
若頭という上の立場になれば、もっと危険な目にあうこともあるんだろう。
碧が危険な目にあうのはいやだし、心配で心臓が壊れそう。