お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「そこの公園で食べましょうか」
「うん!」
「お嬢、アイス落とさないように気をつけてくださいね」
「だ、大丈夫だよ、たぶん!」
短い会話をしたあと、碧はまたわたしの手をとると早足で歩く。
早く行かないとアイス溶けちゃうもんね。
それにしても……普通に手をつなぐなんて。
碧はなんで普通にできるんだろうか。
わたしはさっきから心臓がドキドキしてばっかりだよ……。
晴れているから外には人が多く、気をつけながら歩いて近くの公園へ。
自然が多い公園。
木がたくさんあるから日陰もあって、過ごしやすい。
広い公園だから、家族連れやカップルが目に入って。
……わたしたちも周りから見れば、カップルに見えるのかな、なんて思ったり。
「お嬢、どうぞ」
日陰にあったベンチで立ちどまると、碧はベンチの座るところを手ではらい。
自分のハンカチを敷いて、わたしに座るようにと促す。
……どこのえらい人だ。
「そんなことしなくても普通に座れるもん」
わたしは碧のハンカチをどけて、普通に座ろうとした、が。
「待ってください」と、なぜかとめられた。