お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
気になる
なん十回と思い出す。
碧が、女性とキスしていたところを……。
あの女性は、だれなのか。
キスをしていたから、碧の彼女……だったりするのか。
わからないことだらけ。
碧に聞きたい、けど、聞けない。
もし、彼女だと言われたら……わたしはしばらく立ち直れそうにない。
もしかしたらその場で泣いてしまうかもしれない。
碧は自ら教えてくれないし、聞く勇気がない。
「茉白?ずいぶん早起きだね」
あまり眠れなくて、朝4時前に起きてしまったわたし。
なにをするわけでもなく、ぼうっとして縁側に座っていれば、声をかけてきたのは和服姿のお父さん。
お父さんは仕事が忙しく、話したのは久しぶりかもしれない。
「なんか早く起きちゃった……」
「隣いいかい?」
「うん」
お父さんは隣に腰をおろして、わたしの顔を見た。