お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
完全には安心できないけれど、とりあえずよかった……。
まだ、少しでも望みはある。
じゃあ……碧とあの女性はいったいどんな関係なんだろう。
彼女じゃなかったから……なんでキスしたの?
付き合ってなくてもキスするものなの!?
新たな疑問が生まれる。
「もちろん絶対とは言えないけどね。学校での碧は知らないし、組員の知らないところでもしかして……なんてこともあるかもしれない。
茉白が気になるなら、本人に聞くのが1番だと思うよ」
お父さんは付け足して、わたしは「……うん」とうなずいた。
やっぱり、本人に聞くのが1番。
それはわかってるけど……勇気が出ない。
「茉白、よかったら今度の会合に一緒に行くかい?」
「え?」
「碧はなぜか、茉白の前では若頭の姿をあまり出さないからね。知りたいなら、自分の目で見においで。そこでなら若頭としての碧が見られるはずだよ」
言ってくれた言葉は、まさかの。