お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


これは、絶対に今の話を聞いていた。
……ど、どうしよう!


「えと……」
「好きな男ってだれですか、俺の知ってるやつですか!?」


「あの……」
「いつからですか!?いつから好きなんですか!?そいつはちゃんとした男ですか!?お嬢はちょろいんで騙されてるとかじゃないですか!?」


ずいっと顔が近づいてきて、質問攻め。


……顔が近い、近すぎる。
……好きな人とか、碧本人にまだ言えるわけないじゃんか!
お父さんの前だし!


「じ、時間もまだ早いし、もう少し寝てくる……っ!!」


質問攻めに耐えられなくなって、どんっと強く碧の胸を押して。
手が離れると、わたしは自分の部屋まで全力疾走。


部屋に戻るとすぐに布団の中へと入って隠れた。


好きな人がいるって、碧に知られちゃった……。
なんかすごく気にしてるみたいだから、無関心よりある意味よかったのかもしれないけど……!


あとでいろいろ聞かれそうだよ……。
いろいろ聞かれたら碧のことが好きだってバレちゃうかもしれない……。


碧をもう少し意識させてからじゃないと、告白してもフラれるに決まってる。
碧に彼女がいないかもちゃんと確かめたいし、まだ好きな人がだれかはバレるわけにはいかない!

……なんとか隠さなくちゃ。

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