お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
絶対、絶対まだわたしと健くんのことを誤解されている……!
どうにかしないと……!
「あ、あの、わたしと健くんはただの友だちで──」
「健に近づきすぎなんだよ!」
勇気を振り絞って声を出せば、怒鳴り声にかき消される。
だ、だめだ……!
聞く耳を持ってくれない!
「まじ1年のくせに生意気。健に構ってもらえていい気になってんじゃねぇぞ!健はあんたみたいなブスでも遊んでやってるだけなんだよ!」
思いっきり肩を押されて。
体がよろけ、椅子にぶつかり……しりもちをついた。
「この生意気なブスに先輩の怖さわからせてやって」
茶髪の先輩がそう言うと、わたしの目の前へとやってきた2人の男性。
嫌な予感しかしなくてすぐに立ち上がろうとすれば、また肩を強く押されて。
体がうしろへと倒れ、頭を強くぶつけた。
「鷹樹茉白ちゃん、可哀想に」
「せめて痛くないようにしてあげるからね」
わたしの上にまたがってきた1人の男性。
2人とも気持ち悪いくらいの笑みを浮かべていて、痛いなんて思っている暇はなかった。