お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


強く握ってくる熱い手。
その手に触れていれば、気持ちが溢れ出して。








「……碧、好き」


碧の手の上にさらに自分の右手を重ね、自然と声が出た。


「「…………」」


瞬間、強く握られた手の力が確かに弱くなる。
はっと我に返って、自分がなんて言ったかを理解。


わたし……今、なんて?
す、好き、って……言った!?


自分でも、すごくびっくり。


まだ、告白なんてするつもりはなかったのに……。
心の準備も、碧にちゃんと意識してもらうことさえもできていないのに……。


ここでフラれたら、碧ともういつも通りに話せなくなってしまうかもしれない……っ!


なにより碧との関係が崩れることが怖くて、わたしはすぐに口を開いた。




「手が!碧の手が好きなの!熱くて、大きくて、ゴツゴツしてて、大好き!」


大きな声を出す。
碧にちゃんと聞こえるように。

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