お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


急に近くで聞こえてくるから、心臓が大きくて跳ね上がった。


「部屋、戻る、ね」


小声で言って、立ち上がろうとした時に。

手をつかまれて、強い力で引っ張られた。


その力で傾く体。
また座らされ、つかんだ手とは反対の大きな手がわたしの口元を覆うと……顔が近づいて。






彼は、その手の上からキス。


目の前には整った顔。

至近距離でただ瞬きを繰り返していれば、すぐに離れていく。


それから、忘れかけていたけれど乱れた制服を整えてくれて、立ち上がると普通に襖を開けた。


翔琉さんと話す声が聞こえてくる。





顔が絶対赤いから翔琉さんの顔を見ることができず。
わたしは立ち上がり、下を向いて走って自分の部屋へ。


しばらくは、ドキドキがおさまらなかった。
思い出しては体が熱くなっての繰り返し。


今日は、ドキドキしすぎた1日。

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