お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



早く起きて、すぐに着替え。


服装はよく考えた結果、学校の制服が1番いいと思ってこれで行くことに決めた。


最初は、私服とかいろいろ考えていたんだけど……。
わたしは、明るい色の服しか持っていないということに気づいた。


ヤクザの集まりなんて、だいたいみんなが黒服を着てくるだろう。
そんな中で1人だけ明るい色の服を着るというのは……絶対、浮く。


そのことをいろいろと考えた結果、制服がいいのではという考えに至ったのだった。


パジャマを脱いで、セーラー服へと袖を通そうとすれば、あるものが目に入って手をとめた。









“あるもの”それは、鎖骨についている赤い痕──キスマークのこと。


ついこの間、碧に吸いつかれてつけられたばかりのもので。
いろんなところにキスをたくさんされた日のことを思い出せば、ドキドキと心臓が暴れる。


……本当に、あの日はいろいろあった。
また碧と敬語なしで普通に話せて、名前で読んでもらえて。
いろんなところにキスされて、唇にもされそうになったっけ……。

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