お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


とある部屋の前に到着すれば、碧は襖を開けて。


「予定より早く組長方の会議が終わって、10分後に次の会議がはじまります。早めに用意してください」


中にいる人たちに、そう告げる。
部屋にいたのは、黒服を着た人たち。鷹樹組の組員、そして見たことないほかの組の人たちがいっぱい。


返事が返ってくると碧はすたすたと歩いて、今度は少し離れた別の部屋へ。


「お嬢はここにいてください」


部屋の少し手前でなぜか手を離されて、碧はその部屋の襖を開ける。


……鼻をつく臭い。
部屋の中をちらっと覗けば、ここにいる人たちはタバコを吸っていた。


碧がさっきと同じことを言えば、一斉に動き出す人たち。
タバコをかたづければ碧に挨拶をしに来る人もいて、わたしはその姿を数歩後ろから見ていた。


鷹樹組の若頭に対する挨拶だろう。
まじめな顔をして、話しているから。





「茉白ちゃん、大きくなったね」


声が聞こえるのと同時、ぽんっとわたしの肩に乗せられた手。

びっくりして、心臓が飛び跳ねる。

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