お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
***
それは、本当に急だった。
個室に来て、30分ほど経った時のこと。
──バンッ!!
聞こえてきた、大きな音。
その音は……銃声。
まるでそれを合図だというように、何度も何度も銃声が聞こえてきて。
……心臓が、とまるかと思った。
あまりにも急なことで真っ白になる頭の中。
音が聞こえてきたのは……明らかに近くの部屋から。
近くの部屋というのは、きっと……現在会議中の部屋。
碧……っ!!
みんなは、無事!?
立ち上がろうとしたが、次に聞こえてきた怒声と……またまた、銃声。
なにかにぶつかるような荒々しい物音までして、恐怖で体が動かなくなった。
……いったい、あっちで何が起きてるんだ。
もしかして……敵対する組からの襲撃!?
そう思った直後。
「なにして──」
ほんとにすぐそこ。
襖の向こう側から聞こえてきた大きな声。
それは、鷹樹組の組員の声で……途中で銃声によって、かき消された。