お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
心臓がドクドクと早く動く。
嫌な予感しかしなかった。
……やばい。
……部屋の向こうに、確実にだれかいる。
……殺される!
逃げようと思えば、窓から逃げられる。
それなのに……体がまったく動かない。
ただ震えることしかできないでいれば、襖が勢いよく開けられて。
黒服姿の男性が見えたのと同時、わたしに向けられた銃口。
「──死ね」
低い声が耳に届いて、強く目を瞑った。
その時に──。
耳に届く銃声。
撃たれた、かと思ったがわたしに痛みはなく……。
ゆっくり目を開ければ……。
目に入ったのは、手をおさえて痛そうに顔を歪める黒服の男性。
それから、拳銃を持っている碧。
床には黒服の男性が持っていたと思われる拳銃が落ちていて……碧があの男性を撃ったようだ。
「動けば殺す」
碧は低い声を出して、手をおさえる男性を鋭い目つきで睨みつける。
男性が動かなくなれば、碧はその男をうつ伏せに寝かせて、拘束。