お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
碧は……よく見れば、右頬や左腕から血を流していた。
数秒後に数人の組員が来れば碧は、その人たちに拘束していた男性を引き渡して。
碧はすぐこちらに駆け寄ってきてくれる。
「怪我は!?」
どう見ても自分のほうが怪我をしているのに、わたしの心配をする彼。
「……ない」
一瞬のことだったけれど、消えない恐怖。
震えてしまう声。
そんなわたしを包み込むように碧は抱きしめてくれた。
「な、なにが起きたの……みんな無事なの……?」
一生懸命声を出して、聞いてみる。
「いきなり襲撃されて……怪我人は結構いる。おまえはもう帰る準備しろ」
「……え」
その言葉を聞いて、さらに不安になる。
もし、お父さんやみんなになにかあったら……と考えれば怖くて体の震えがとまらない。
「こんなに怪我人がいればこのまま続行することはできないから、おまえは車で帰れ」
「……碧は?……みんなは?」
「俺はここに残る」
そんな会話をしたあと、すぐに翔琉さんがこっちに来て。
数分後、強制的に車に乗せられた。
車に乗せられた時に見たのは……救急車で運ばれる一条組の組長さんの姿。
青白い肌に、血まみれの状態。
意識がないのか、心臓マッサージまでされていて。
恐怖心は大きくなるばかり。
……お父さんやみんなも無事かわからない状態で、とにかく本当に怖かった。
そんな恐怖の中、わたしは車で帰宅。