お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


「えっ、いいよ!自分のことお願いしたほうがいいよ!」
『ほんとは俺が茉白ちゃんを笑顔にしたいけどさ、悔しいけど茉白ちゃんは碧くんに会ったほうが最高に可愛い笑顔になると思うんだよね』


「そ、そんなことは……」
『ほら、空見よう。見逃さないようにしないと』


そう言われ、空を見上げて。
じっと流れ星を待つ。


絶対に逃さないように瞬きをあまりしないで見ていれば……。


きらりと光って、流れていく星。
すぐに願いを心の中で3回すばやくいった。



“会いたい”
碧の顔を浮かべて、強く……。


星は輝いて、すぐに消えて。






「できた!願い事、ちゃんと心の中で3回いえたよ!」


嬉しくて、思わず立ち上がる。


『待って、俺も今3回いえたんだけど』
「ほんと!?」


『同時だね』
「やったね!あ、次は健くんがずっと元気でいられるように、“元気”って願う!」


わたしのことを願ってくれる優しい健くんに、なにかお返しがしたくてそう言って。
わたしはすぐに座ってまた空を見上げた。

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