お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
……って、なに言ってるんだわたしは。
碧にずっと会えてなかったから、気持ちが溢れ出してとまらなくて……口から出てしまったけど。
今のは確かな告白。
もし、聞かれてたら……──。
「……茉白」
耳に届く小さな声。
彼の顔を見れば、ぱちっと視線が合った。
……お、お、お、起きてた!?
今の、聞かれた!?
「あ、えと、ちが、くはないけど、その、えと、あの……っ!」
なんて誤魔化せばいいのか。
まさか聞かれるとは思っていなくて、頭の中はパニック状態。
どうしようかと必死に考えていれば、碧はわたしの後頭部に手をまわして……。
強く引き寄せ、次に瞬きをした時には──柔らかい感触が唇に触れた。
「……っ!」
熱い体温。
それは強く押しつけられ……。
碧の整った顔が目の前にあり、わたしは……
──キス、されているんだとわかった。