お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
***
碧は、なんでわたしにキスをしたんだろうか。
……ただ、寝ぼけていただけだろうか。
それと、碧はこの1ヶ月以上どこでなにをしていたのか。
いろいろ聞きたいことはあったし、いろいろと考えた。
考えすぎた結果、一睡もできなくて、朝方に感じた寒気。
体はだるくて……熱を測ってみれば、38.5度。
昨日はなんともなかったのに、今日は高熱。
頭痛がひどくして、なにも考えられなくなった。
「お嬢、病院に行きましょう。立てますか?」
近くでする翔琉さんの声。
わたしはあまりの寒気と頭痛に布団から出られず、「……やだ」と小さくつぶやいて布団で顔を隠した。
「碧も一緒ですよ」
「……わたしは家にいる」
「一緒に行きましょう。病院に行って薬をもらったほうがすぐに熱がさがりますよ」
「…………」
「お嬢。俺の背中に乗っていいんで、行きましょう」
顔が出るまで布団をめくられて、視界に入った翔琉さん。
その、すぐうしろ。
部屋の開いた襖から、碧の姿が見えた。