お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


それは、わたしのスマホのもの。
着信音からして、電話だ。


ベッドの上に置いたスマホを手に取れば、表示されていたのは【猿渡 健一郎】の文字。


健くんから、電話?
急にどうしたんだろう。


とりあえず、通話ボタンをタップ。


『あ、茉白ちゃん?』


スマホを耳に当てれば聞こえてきた健くんの声。


「健くん?」
『ごめんね、また急に電話しちゃって』


「ぜんぜん大丈夫だけど、どうしたの?」
『ほら、茉白ちゃん、数日前熱出たって言ってたから大丈夫かなって思って』


その言葉で思い出す。

熱が出ていた時に健くんからラインがきて、わたしは現在熱が出ていると返信したっけ。

もう熱が下がった、ってメッセージを送るの忘れてた……。
心配して、わざわざ電話かけてくれたのかな。


「心配させてごめんね、もう熱は下がったよ」
『ほんと?それはよかった』


「今は元気だからぜんぜん大丈夫!」
『じゃあさ、茉白ちゃん』


「なに?」
『今度遊ぼうよ』


「遊びたい!」


聞こえてきた声に、すぐに返す。

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