お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


この時、わたしは碧がボディーガードと言った意味がわかった。
なんで今まで気づかなかったんだろう。


ヤクザというものは、人の恨みを買うこともあるもので……鷹樹組を恨む人たちはどんな手段を使って復讐しにくるかわからない。


組長の娘なんて戦えないから捕まえやすいだろうし、人質の価値はそれなりにあるだろう。
どこへ出かける時も碧が一緒だったのは、わたしを守るためだったんだ。

わたしが鷹樹組の弱みだから、狙われるかもしれないと思っていたんだ。


……逃げなきゃ。

心ではそう思っても、やばい人が3人になってはさっきよりも逃げられない。


「少しくらいなら楽しんでもバチは当たらないだろ」


動けずにいれば、坊主頭の男性はわたしの腰に手をまわしてきて。


「ちょっと触るだけだって」


大きな手は、わたしの腰から滑るように下へと移動していく。


ゾワッと鳥肌がたった。
声がまったく出なくて、体が凍りついたように動かない。


「やめろよなぁ」
「待つのは5分だけだぞ」


耳に届くのは、男性2人の下品な笑い声。


……怖い、気持ち悪い。
やだ、やだよ……助けて、碧!!












心の中で強く助けを呼んだ、その時に──。
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