お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
でもでも、いつまでも怖がっていたら告白なんて永遠にできないかもしれないし……。
今、告白するべきなの!?
いろいろと考えていれば、碧の線香花火も地面へと落下。
「お嬢」
呼ばれて、心臓がまた大きく跳ね上がる。
碧の顔が見れない。
どんな顔していいのかわからない。
……碧がどんな顔しているのか、気になるけど、見たくない。
「お嬢」
再び呼ばれる。
でも、やっぱり顔を上げることができなくて。
「言いたくないのであれば、今は言わなくてもいいですよ。もう帰りましょうか」
ぽん、っとわたしの頭の上に置かれた大きな手。
2、3回優しくわたしの頭を撫でると彼は立ち上がり、花火を片付ける。
……言わなくて、いいの?
“今は”だから、あとでまた聞かれるのかもしれないけど……。
とりあえず、今日のところは助かった……。
わたしは息をひとつついて、使わなかった花火を袋の中へとしまう。
って!!
なに安心してるのさ、わたし!!
碧の優しさに甘えて……!!
このまま逃げていたら怖気付いて、本当の本当の本当に、永遠に告白できないかもしれないのに!!