お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「碧!!」
わたしは勢いよく立ち上がる。
すると、碧はこちらを見て。
目が合うと、大きく息を吸った。
「碧はなんでわたしにキスしようとしたの!?」
言おうと思っていたこととはちがう言葉が口から出てきて、自分でもびっくり。
その言葉に、黙り込んでしまう碧。
こ、告白しようとしたのに……!
これも気になってたから聞きたかったけどさ!?
もしかしたら……わたしは、告白するのをまだどこかで怖がっていたのかもしれない。
そうとしか思えない。
わたしはずるい女だ。
自分は答えないくせに、碧に聞くなんて……。
なんて返ってくるか、わたしの心臓は破裂しそうなほどドキドキと加速。
数秒間彼は黙っていれば、のちに口を開いた。
「……お嬢が可愛いから、です」
小さな声が耳に届く。
……か、可愛い、から?
そう思ったから、キスしそうになった、と?
「今だって、キスしたいと思ってますよ」
確かに目を見て言われ、ドキッとする。