お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「!?」
キスしたい!?
わ、わたしと!?
なんで!?
普通、可愛いと思ったらキスしたくなるものなの!?
考えても、わからないことだらけ。
ただ、心臓が加速して顔が熱くなる。
「……お嬢、そういう顔しないでください。本当にキスしちゃいますよ」
碧は歩いてきて、わたしとの距離をつめてくる。
動けないでいれば、あっという間に彼は目の前に。
「……いいよ」
小さく出た声。
それは、わたしの声だった。
またまた、自分でもびっくり。
でも……『やっぱりだめ!』とも言いたくなくて。
自分の気持ちがよくわからなくて、自分で自分が制御不能。
「いやだったら、逃げてください」
優しい声が聞こえてくると、近づいてくる整った顔。
どんどん近づいてきて、ぎゅっと目をつむると。
やがて──重なり合った、唇。