お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
柔らかい感触。
あつい熱。
確かに伝わって、すぐに離れていく。
目を開けて、すぐに下を向いた。
……心臓の音がうるさい。
碧の顔が見れない……。
「……帰りましょうか」
聞こえてきた声にうなずいて、花火をすぐに片付けて……。
わたしたちは、家へと帰った。
帰り道は、お互い無言。
碧が今なにを考えているのか気になったりしたけど、キスのことを思い出したり、ドキドキしすぎたりで……結局なにも話せなかった。
この日の月はものすごく綺麗で、わたしはそっと祈った。
──碧に告白して、うまくいきますように。