お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「なんだろう……」
黒板をじっと見た。
個人競技と団体競技、どちらも1種目は必ず出場しないといけないらしい。各種目で人数も決まっているから、希望者が多いところはジャンケンになってしまう。
個人競技は、徒競走、障害物競走、借人競走、この3つ。
徒競走は、絶対むりだ。足が速い人が集まりそうな予感しかしないから。
だったら、障害物競走か借人競走かなぁ……。
あ、でも、障害物競走は数々の試練を乗り越えなくちゃいけないのか。
少し運次第なところもあるだろうけど、大変そうだし……やっぱり、借人競走?
借人競走は、ただ紙に書かれた人を連れていってゴールすればいいだけだよね。
探すのは大変かもしれないけど、そっちのほうが単純でよさそう。
「個人競技は、借人競走がいいかも!凛ちゃんは?」
「あたしは個人だと徒競走かな~。障害物競走と借人競走は、運がないから無理なんだよねぇ……。やっぱりここは運じゃなくて自分の体力に頼るしかないと思って!」
「そっか!頑張ろうね!」
「うん!茉白、団体競技は一緒にしようよ!」
「する!一緒がいいっ!」
こくこくとうなずいて、凛ちゃんと団体競技について話し合った。
そして数分後、先生がみんなに出場したい競技の希望をとって。
わたしと凛ちゃんは、無事に希望していた競技に出られることになったのだった。
そのあとクラスで決めたのは、クラス対抗リレーの走る順番。
足が遅いわたしは中間あたりに入れてもらって、頑張ろうと強く思った。