お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「ありがと、茉白ちゃん。俺まじで頑張るから」
わたしの返事を聞いた健くんは嬉しそうな表情。
にこにこして、すごくご機嫌。
……そんなに嬉しいの?
……なんで?
友だちからのキスってほしいもの?
どうして健くんはわたしのキスなんかを欲しがるのか、謎は深まるばかり。
自分で考えても、どうしてもわからなくて。
「……なんで、そんなものがほしいの?大親友からのキスって、そんなにほしいものなの?」
思い切って聞いてみた。
すると……。
「俺は茉白ちゃんを大親友だなんて思ってないよ」
放たれたのは、衝撃的な言葉。
「……えっ」
びっくりして、体が動かなくなる。
大親友だと思っていない、なんて。
はじめてできたと思った大親友。
ずっと、健くんもわたしのことを大親友だと思っていてくれているものだと思っていたのに。
……なんで?
……大親友だと思ってたのは、わたしだけってこと?
急に、そんなことを言われて……悲しい気持ちが次々に溢れてくる。
なんだか、1人だけ大親友だと思っていたことが恥ずかしくて、悲しくて……。
健くんの目を見ていられなくなって、下を向いたその時に──。
「俺は、茉白ちゃんが好きだよ」