お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
わたしは碧の部屋へと連れていかれ、すぐに閉められた襖。
2人きりの空間になれば、碧は一気に距離を詰めてきて。
じりじりとうしろにさがれば、碧はさらに距離を詰めてくる。
そんなことをしていると、逃げないように彼はわたしの手をつかんで。
まっすぐに見つめられる瞳に、わたしは動けなくなった。
彼は優しい笑顔を向けるわけでもなく、怒ったような表情で。
「……おまえ、ほんとバカ」
低く、つぶやくように言った。
それから、彼は続けて口を開き。
「なんであのクソ猿とペアなんだよ。無理やりペアにさせられたのか?おまえら距離近すぎじゃねぇの?もうあのクソ猿を消してもいいか?」
再び、低い声が耳に届く。
敬語を使わない碧。
ぜんぜん使わなくていいんだけど……急に敬語じゃなくなると、なんだか心臓に悪い。