お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
ペアというのは、二人三脚のペアのこと、だよね?
なんか最後のはやばい言葉だったような!?また、“消す”って言ったよね!?
「二人三脚のペアはクジで決めたの!たまたま健くんとペアになったの!二人三脚なんだから距離が近いのは仕方のないことだよ!
健くんは大親友だから、変なことしないでね!?」
碧につかまれた手を振り払おうとする。
けれど、彼は手を離すことはない。
距離が近いといえば、碧だってそうじゃんか。
二人三脚の練習で、すっごく里古さんと距離が近かったくせに。話だって仲良さそうにしてたのを見たんだから。
その時の2人を思い出せば、また胸がちくりと痛む。
「…………」
黙り込んでしまう碧。
「健くんになにも──んっ」
もう一度口を開けば、最後まで言うことができなかった。
急に顔が近づいてきて……次に瞬きをした時には、塞がれた口。
わたしの口を塞いだのは、彼の口で……。
──キス、された。