お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
なんとも思われなかったら、碧がわたしのことをなんとも思っていない証拠だから……気にしてもらえて、嬉しい。
……でも、なんで怒っているんだろう。
なんで、碧がそのことで怒るの?
ただの幼なじみとして気になってるの?
それとも……?
また、自分のいいほうへと期待してしまう。
「……おまえ、あいつと付き合うの?好きな男ってまじであいつ?あいつが好きだから、キスの約束なんてしたのかよ?」
質問攻めにあうわたし。
また低い声が耳に届くから、わたしは碧の手を握り返した。
「……碧は、わたしが健くんのことどう思ってるのか、気になるの?」
ドキドキしながら碧の瞳を見つめて、口を開く。
なんて答えるのか少し緊張していれば、「今質問してるのは俺」と返されて。
答えろ、と急かされる。
……わたしだって、気になるのに。
「……秘密」
ぽつり、とつぶくように答えた。
すると、顔をさらに近づけてくる碧。
「言わねぇとキスする」
また、唇が触れるまであと数センチの距離。