お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


なんとも思われなかったら、碧がわたしのことをなんとも思っていない証拠だから……気にしてもらえて、嬉しい。


……でも、なんで怒っているんだろう。
なんで、碧がそのことで怒るの?


ただの幼なじみとして気になってるの?
それとも……?


また、自分のいいほうへと期待してしまう。





「……おまえ、あいつと付き合うの?好きな男ってまじであいつ?あいつが好きだから、キスの約束なんてしたのかよ?」


質問攻めにあうわたし。
また低い声が耳に届くから、わたしは碧の手を握り返した。




「……碧は、わたしが健くんのことどう思ってるのか、気になるの?」


ドキドキしながら碧の瞳を見つめて、口を開く。
なんて答えるのか少し緊張していれば、「今質問してるのは俺」と返されて。

答えろ、と急かされる。


……わたしだって、気になるのに。




「……秘密」


ぽつり、とつぶくように答えた。
すると、顔をさらに近づけてくる碧。


「言わねぇとキスする」


また、唇が触れるまであと数センチの距離。


< 347 / 431 >

この作品をシェア

pagetop