お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


「……もうキスしたじゃん」
「言うまでキスする」


「……っ」


なんでそんなに無理やり言わせようとするのか。
……自分のことはちゃんと言わないくせに、ずるい人だ。


「早く」
「……っ」


「茉白」
「……秘密」





小さく答えた瞬間、唇に伝わる熱。
本日2度目のキス。


唇を一瞬だけ重ねて、離れて。
また、重ね合わせる。


それを何度も繰り返して、とまらない。
本当に……わたしが答えるまでキスするつもりなのか。



甘く痺れていく唇。
呼吸するタイミングは与えられるが、少しずつ苦しくなってくる。


碧……どうして気になるの?
どうして、キスするの?




碧がわからない。
わからないよ……。


でも、わからないままにしたらだめ。

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