お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


わたしはそっと碧の胸を押して、ピタリととまってくれる彼。






「碧……体育祭が終わったら、ぜんぶ教えてあげる。それから、わたし……その時に、碧に伝えたいことがあるの」


小さな声だけど、まっすぐに碧に伝える。


“伝えたいこと”
というのは、わたしのこの気持ち。

……今度こそ、碧に告白する。



体育祭が終わったあとと言ったのは、それまでに告白する心の準備をするため。


告白をすれば、碧とはもうこれまでみたいに普通に一緒にいられなくなってしまうかもしれないから……せめて、体育祭はしっかり楽しんでおきたかった。


「それは……俺にとっていい話?それとも、悪い話?」


彼は、少し不安そうにする。


「……わからない」


ただ、そう返すことしかできない。

だって、碧がわたしの告白を嬉しいと思うのか、迷惑だと思うのかわからないから。


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