お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
鷹樹組の組員を3人引き連れて、彼は帰宅。
玄関で待っていたわたしは、碧を見てすぐに立ち上がる。
さっきまですごく眠くて睡魔と交戦中だったのに、一瞬で眠くなくなった。
「碧っ!」
「お嬢……待ってたんですか?」
「碧が帰ってこないから心配してたの!怪我してない!?」
「……俺は大丈夫です」
大丈夫だと答える彼だけど、わたしはぺたぺたと碧に触ってよく確認。
せっかくの新しい制服には、血の乾いた跡。
それは碧のものなのか、返り血なのか……。
「それは俺の血じゃないです。汚いんであんまり触らないほうがいいですよ」
パシッと碧に手をつかんでとめられて。
彼は引き連れていた組員3人に「先に戻ってろ」と言ってから、この場に正座。
「今日は俺がいながらお嬢を危険な目にあわせてしまい、本当にすみませんでした」
この場に2人きりになると、わたしを見上げて、謝罪。
……碧が謝ることじゃないし、もうすでに1回謝られたのに。
「碧は悪くないよ!謝るのはわたしのほう!具合悪くなって気を使わせちやったし……いつも、碧に守ってもらってたのにも気づかなかったし……」
「…………」
「碧は、わたしが鷹樹組の弱みだからいつもそばにいて守ってくれてたんだよね。わたし、いろいろ気づかなくて……いつもごめんね」
その場にしゃがんで、碧と目をまっすぐに合わせる。