お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


二人三脚は、リレー形式。
校庭に書いてある円を各ペアで半周ずつ走って、バトンをつないでいくというルール。


それぞれが配置につけば。
スターターが「位置について、よーい」と声を出して。

次の瞬間には、ピストルの音が鳴る。








一斉にスタートするみんな。

声援が飛び交って、わたしの緊張はマックスに。


わたしたちのクラスの最初のペアの1人は凛ちゃんで、そのペアはものすごい速さでほかの人たちに差をつけていく。



……すごい!
すごく速いよ!


もし、わたしが転んだら、バトンを落としたら……大きく差がついてしまうかもしれない。
今は1位でも、わたしのせいで1位じゃなくなっちゃうかもしれない……。


嫌な想像をしてしまい、顔を横に振ってその想像をぶんぶんと振り払う。


……大丈夫、きっとできる。
ちゃんとバトンを渡す練習もしたから、きっと大丈夫。


大きく息を吸って、吐いて。
深く深呼吸を繰り返す。


「行こっか、茉白ちゃん」
「う、うん」


わたしと健くんのペアは、白線まで進んでバトンを渡されるのを待った。

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