お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「わたしなら大丈夫だよ!それより健くんは大丈夫!?怪我してない!?」
「俺はどこも痛いところないから大丈夫だよ。ごめんね、助けてあげられなくて」
答えた健くんをよく見るが、怪我はなさそうで……よかった。
「謝るのはわたしのほうだよ!わたしがリズムズレたから……」
「ほんとに大丈夫だよ。これ終わったら手当してもらいに行こうか」
「えっ、大丈夫だよ。これくらい舐めておけば治るもんね」
「だめだよ、女の子なんだからちゃんと手当しないと」
そんな会話をしているうちに、全チームゴール。
わたしたちのクラスは、なんと1位だった。
「茉白、大丈夫!?」
「2人とも怪我してない!?」
放送で『1位は1年1組!』と流れれば、こちらに駆け寄ってくる二人三脚に出場したクラスの人たち。
「俺はぜんぜん大丈夫なんだけど、茉白ちゃんが──」
「わたしもぜんぜん大丈夫だよ……!」
実際そんなに大した怪我もしていないし、痛くない。
心配させないうにと健くんの言葉を遮って返す。
「ほんと?」
「ほんとほんと!」
じっと見てくる凛ちゃんに笑顔で返せば、彼女はわたしの前に手を出してきて。
なにかと思えば、健くんが先に凛ちゃんと手を合わせて叩き合った。
そこで、わたしは凛ちゃんがやろうとしていたことを理解。
……ハイタッチだ!