お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「ほら、茉白も!」
そう言われて、わたしは血が出ていないほうの手でハイタッチ。
それに続くように、クラスの人たちも手を出してくれて、ハイタッチ。
みんなで笑いあって、喜びを分かちあって……。
こういうのが、わたしが学校でずっとやってみたかったこと。
ずっと、夢だったこと。
いつもよりみんなを近くに感じられるから、学校行事ってすごい。
この学校に来て本当によかった……っ!
さっきまであんなに沈んでいた気持ちが、一気に上がる。
みんな笑顔で退場して、
「よし、行こうか」
競技が終われば、健くんはわたしの手を引いて救護テントへと向かう。
「健くん、1人で行けるよ」
「送ってくよ」
「お、送るなんて……すぐそこだし本当に1人で大丈夫だよ!」
「俺が茉白ちゃんと少しでも長く一緒にいたいんだよ」
健くんの言葉に心臓がドキリとする。
……また、なんてことを急に言うんだ。