お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


……つき、あう?
わたしと、健くんが?付き合う!?


な、なんで、急に……。
わたしは、フラれたけど碧が好きで……それは健くんだってわかってるはずで……。

こんな気持ちのまま付き合うことを考えるなんて、次の恋をするなて……考えられないよ。





「茉白ちゃんの気持ちはわかってる。わかってるから、ほかの人を好きなまま俺に寄りかかっていいよ。それで少しでも楽になれるならいいんだ。

俺とたくさん楽しいことして、たくさん笑っていようよ。
俺がいつか……絶対、茉白ちゃんを惚れさせるから」


健くんは、わたしをまっすぐに見つめて逸らさない。



その言葉に、瞳に……鼓動が早くなる。



この気持ちのまま付き合うことや、次の恋をすることなんて考えられないのに……。


今のこの辛い気持ちをどうにかすることができるのなら、いいかも……って少し思ってしまう。





汚い気持ち。
わたし、最低だ。

いくらいいって言ってもらえたからって、健くんを利用することは、最低なことなのに……。


そんなの、お互い辛いだけなのに。

< 384 / 431 >

この作品をシェア

pagetop