お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



***


「それにしても、ラッキーだったな」
「まさか鷹樹組の娘が1人でいるとは。楽に学校に入れたし、まじで運が良かった」


「今頃、俺たちを散々痛めつけてチームを潰した小鳥遊碧は焦ってるんじゃねぇの?」
「あはは!絶対そうだな!」


「自分が護衛してた女が誘拐されるとなれば、あいつはもう若頭クビだろ!クビ!」
「ちょろすぎるもんな、こんなに簡単に誘拐できるし!」



耳に届く男性たちの笑い声。
遠くで聞こえていた声は、はっきりと聞こえてくるようになって……ゆっくり、目を開けた。




ぼんやりとした視界。
ぼうっとしていれば、少しずつ視界が定まってきて。


見えたのは、見知らぬ天井。
どうやら、今まで寝ていたみたいだ。


……どこ?


どこかと思い、横を向けば……びっくり。

現在わたしは寂れた倉庫にいて、そこの片隅にあるソファに寝ていて……近くには、数人の男性がいた。


……こ、ここはどこ!?
な、なにがあったんだっけ!?


そう思ったあと、すぐに思い出したのは……学校でのこと。


車の鍵を探している男性2人がいて……急に、ハンカチで口元と鼻を押さえつけられて。
わたしは、意識を失ったんだ。



もしかして、この人たちは組関係の人なの!?

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