お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「まぁそうだな。可愛いこの子とできるし、小鳥遊に仕返しができるし、まじ楽しみ」
「じゃあもうやるか?俺にも代われよなー」
「わかってるって。順番だろ、順番。俺は1番だけど!」
聞こえてくるのは下品な笑い声。
その声が聞こえたすぐあとに、ギシッと軋むソファ。
だれかが、ソファに乗ってきた。
ゆっくり目を開ければ、わたしの上に覆いかぶさっていたアロハシャツを着た男性。
「脱ぎ脱ぎしようねー」
その男性は、わたしが着ているTシャツとキャミソールに手をかけて、一気に上までまくりあげた。
「……っ」
やだっ!
やめて……っ。
体は動かなくて、恐怖で声も出ない。
……抵抗ができない。
それをいいことに、どんどん服は脱がされて……あっという間に下着姿に。
上から下まで舐めるように見られて、恥ずかしくて目の奥が熱くなる。
「この光景を見た小鳥遊がどういう反応するのか、楽しみだなぁ」
下着のホックにまで手をかけられた。
……さっきまであったことが夢みたい。
体育祭で楽しんで、碧と気持ちが通じあって、あんなに幸せだったのに……。
今は、別世界にいるみたい。
これこそ、夢だったらいいのに……。
ホックがプチンっ、とはずされて……わたしは強く目をつむった。
目をつむればこぼれ落ちていく涙。
その、涙がこぼれ落ちたすぐあとのこと──。