お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「ほら」
車内にあったひざ掛けをとって、それもわたしにかけてくれる彼。
このひざ掛けは、熱が出て病院に行く時に使ったもの。
「碧、一緒にいて……」
すぐに行ってしまいそうな彼にそう伝えれば、「一瞬だけ待ってろ」と言われ……結局、彼は車をおりていった。
でも、本当にすぐに戻ってきてくれて。
「……近くに来て」
じっと見つめると、彼はピタリとくっついてくれる。
冷房がきいている車内、ひざ掛けとジャケットは温かくて……ちょうどいい温度。
昨夜眠れなかったせいか、急に襲ってくる眠気。
わたしは必死に睡魔と戦っていたけれど、何回か負けそうになる。
そんなわたしに気づいた碧は、わたしはの体を引き寄せて。
「寝てていいから」
優しく言ってくれる。
わたしはその言葉に甘えて、碧に寄りかかって目を閉じたのだった。