お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。

以前はヤクザの男を好きになるなんて……って思ったこともあったけど、今は後悔なんてまったくしていない。


碧のことは、好きで、大好きで、この人生でこれ以上好きになる人なんて現れないと思うくらい。


確かに碧といれば、普通の人ならしないような苦労も、心配もしなくちゃいけないかもしれない。
でも、それでもわたしは……。





「わたしは、碧が好き。碧を諦めるとか、気持ちをなかったことにするなんてできるわけない……。一緒にいたいよ……」


彼を抱きしめる手に、力をいれる。


「……後悔しませんか？」


見つめてくる碧をそらさずに、


「しない」


と、まっすぐに答える。


「絶対、後悔しませんか？」
「絶対しない」


「絶対、絶対に？」
「後悔しないっ！」


何回も聞かれて、何回も答える。
すると、碧は口角を上げて……。



わたしの背中に手をまわすと、強く抱きしめ返してくれた。