お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
隣に立つ碧を見れると、彼は「……本当です」と答えた。
……碧。
本当に5歳の頃から、わたしのことを考えてくれていたんだ……。
「碧、これからも茉白をよろしく頼むな」
お父さんは、碧に向けて優しく微笑んだ。
「はいっ!」
碧は大きく返事をして、頭を下げるから、わたしも一緒に頭を下げた。
「仲良くな」
その言葉を最後に、お父さんはすたすたと歩いていって。
この場には、わたしと碧の2人に。
……お父さん公認になったから、コソコソしたりしなくていいんだ!
恥ずかしいけど、嬉しい。
っていうか、わたしと碧の関係は……なんなんだろう。
気持ちが通じあって、認めてもらえたから……付き合ってる、ってことでいいの?
でも、付き合おうとは1回も言われていないし……。
考えてもわからなくて、わたしは顔を上げて碧の袖を引っ張った。
すると、彼も顔を上げて。
「部屋で話そう」
わたしは、自分の部屋を指さした。
でも、彼は。
「部屋もいいですが……少し、庭で話しませんか?」
そう返して来るから、その言葉にうなずいき靴を履いて外へと出た。